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教員の働き方改革を一歩前に進めるには

2023年の年頭の挨拶として、教員の働き方改革について書きたいと思います。
ネットマンがサービスを提供している教育ICT分野は活況を呈しています。政府の肝入りの政策「GIGAスクール構想」で児童・生徒に1人一台の端末が配られて2年経ちました。

そんな中、今年創業23年目の春を迎えるネットマン。「教育×ICT」の校務・授業支援のサービス「Cラーニング」を続けています。とても長く本質的なサービスを続けている会社の1つと自負しています。
ではITで学校が変わったのかと聞かれると、まだまだ変わっていない現実が目の前にあります。

まだ変わっていないこと。それは

・教員の働き方改革

です。

・保護者への連絡・対応
・出欠席管理
・健康観察(検温、心)
・職員朝礼や打ち合わせ内容の情報共有
・生徒への連絡
・面談記録
・学校評価など各種アンケート

これらは全てデジタル化によって業務工数削減できる分野です。すぐにICT化されると思いきや、実際はそうはうまくはいきません。

私の肌感覚からすると現在の学校のICT化は、ICT化すべき業務の25%程度ではないでしょうか。

気になるのは、ICT化しないことで、大量の余計な業務が発生していることです。「これは面倒だから当然ICT化するはず」という業務でさえアナログ作業を行なっている場合があるのです。例えば以下のような業務です。

・保護者からの電話連絡をメモ用紙を使って担任に伝える
・出欠席黒板を教務日誌に書いて、学期末にExcelで集計する
・毎日の検温を紙で行い保健室の先生が集約している
・職員朝礼や打ち合わせで大量のコピーがされている
・入学説明会、進学説明会、PTA総会で大量の紙が配られている
・学校評価アンケート分析がフォームとExcelで手作業で行われている

あげたらキリがありません。

日々現場にいると「希望と絶望」の繰り返しです。上記のような大量な余計な業務を手作業で行なっている姿には「絶望」を感じます。

なぜそう感じるかというと

一部の教員に「仕事の仕方を変える必要がない」と信じ切っている人がいて
学校の全体の試みである、業務のICT化に否定的だからです。
しかし、その先生からしてみたら、何の問題もなく今日も仕事は終わっているのですから当然と言えば当然です。

でも、業務効率を上げてその浮いた時間に、教材開発や生徒対応などの時間を増やそうという考えは強くないようです。
業務改善されずに児童・生徒のための時間が十分に取られていないとしたらそれは大きな問題です。
何とか働き方改革を推進してもらい、これからの教育(児童・生徒の可能性を引き出す個別最適な学びと協働的な学び)を実現に力を注げるようにする必要があります。

ただ、私の長年の経験から、このような考えに陥っている人を説得することは残念ながら不可能と思われます。その方の哲学やこだわり、プライドがあり、決して曲げることはしません。

でもなんとかしなくてはいけません。エネルギーが強いので学校全体の試みを頓挫させてしまう可能性もあるからです。

そこで、学校ICT化には学校マネジメント(校長)と管理職の覚悟が問われます。中途半端に誰かにやらせようとするのではなく、校長自ら積極的に先頭に立って率先垂範する必要があります。

すると、最初は、否定的な先生もしょうがなく学校ICTを活用し始めます。
しばらくするうちに効果を体験される中で、「これはいい!」と納得されて、最後には「もっとこうやってみよう」と前向きな意見を言ってくれるようになるから不思議です。

考えてみれば、自分の教育観をしっかりもっているからこそ最初は否定的だった可能性もあります。
よってそのような方が推進者に変わってくれたら、力強く働き方改革は進むことは間違いありません。

最近、教員の働き方改革はウェルビーイングと繋がり「教員の幸福論」になってきました。

教員の一丁目一番地は「授業」です。いかに児童・生徒にとって価値のある魅力的な授業を行うかが勝負のはずです。そこに生きがいをもって教員になった方も多い思います。
それが大量の余計な業務で時間が奪われ、授業に力を入れることができなくなっている現実もあると思います。

「教員の主戦場は授業」。そのためにはまず働き方改革。そこに火をつけることができれば、本当の意味の教育改革が実現することになるのではないでしょうか。

ネットマンは今年も前向きにチャレンジする学校や先生を全力で支援していきます。微力ながら教育改革の一翼を担いたいと思います。