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選ばれる公立校。先生がイキイキする学校文化を作るには。

少子化に伴い、公立の小中学校の環境は激変しています。
静岡県でも政令市を除いて今後5年間で約2万人の小中学生が減るという試算が発表されています。他の県でも同様なことが起きているでしょう。

 静岡県教育委員会のHP(公立小中学校の学校事務再編について)から抜粋

公立小中学校の学校事務再編について うまく統廃合できればいいのですが、地理的に難しい場合もあり今後、小規模校が増えていくことが予想されます。

また、地方都市でも都市部と同様、私立の中高一貫校が増えており公立を選ばず私立を選ぶ保護者が増えている現状があります。また県立高校も定員割れの学校が増えてきており、厳しい状況があります。

このような中今後ますます公立のあり方や存在価値が問われてくるでしょう。
そこで、どうすれば選ばれる学校になるのか考えたいと思います。

学校の一丁目一番地は「授業」です。

保護者は、学校は生徒たちが「イキイキ学び・自分らしく成長する場所」であってほしいと思っていることでしょう。
そのため必要なことは「魅力ある授業」であることは間違いないでしょう。

学校が「魅力ある授業」だらけであれば、毎日学校に行くのも楽しいでしょうし「学ぶことは楽しいことなんだ」という一生物の「人生の基盤」ができます。

きっとそのような子供は、常に学ぶ習慣が身につくので、時代の変化に揉まれてもそのたびに自分をアップデートして生きていくことができるはずです。
私は、大学で教育学部の学生に「経験学習実践論」「行動分析学入門」などを教えています。こんなこと言いながら私も1人の教員として、いい授業を作る難しさは痛感しています。(ヘッダーの写真は私の長崎大学での授業の写真です。)でも「魅力ある授業」を作るのは、教員の醍醐味なのではとも考えています。

ある英語教員が言いました。
(この先生は、生徒がイキイキと勉強するようになる授業で有名です)
「教科書はつまらない。正解が載っているから」と。

もちろん段取りよく定着させるために教科書を使うことも大切でしょう。
でもより大切なのは、教員自身が教材や授業法を開発することかと思います。そして常に改善し続け日々いい授業を育んでいきます。教科書は参考にすべき教材の1つなだけです。

そして、なにより、その教科や単元の面白さを伝えていってほしいと思います。

私は教育は「熱」だと思っています。

いくらオンラインやAI教材が増えて、自学習の方がテストの成績を上げることが得意になったとしても、その教科の魅力を伝えていけるのは「人間」です。

先生はある意味その教科の専門家。その面白さを熟知しているはずです。
その「熱」を伝えることが一番の教育になります。

そのよう先生がたくさんいる学校はまるで「楽しい動物園」のようです。
(失礼!面白い魅力的な人がたくさんいるという意味です)
生徒たちは毎日がワクワクで登校することでしょう。

そんな学校であれば「選ばれる学校」になるのは間違いありません。

そして、このような学校を作るためには

「自由闊達なる教員文化」

が必要です。管理職は、先生方の個性を引き出すような学校文化を作っていく必要があります。

魅力ある授業作りは、一定の挑戦が必要でしょう。だから時には失敗もあると思います。それを「いいチャレンジだね」とお互いに認め合う教員文化があれば一人一人の教員の良さを引き出すことができるはずです。

このようなことを書くと「そんなこと当たり前だ」「また部外者が理想論を語っている」と言われそうですので、教育DXを推進している立場として「自由闊達なる教員文化」の1つアイデアを示したいと思います。

とても小さな実践ですが効果100倍の実践です。

それは「毎日の職員朝礼の反転学習化」です。

事前(たとえば前日)に当日の連絡事項をITの掲示板に挙げておき、質問、コメント等はすませておくのです。配布物はPDFファイルで共有しておけばいいでしょう。

メリットは5つあります。

メリット1:時間短縮
 ある学校では15分が2分に短縮されました。
メリット2:会議のデジタル化の文化
 分掌やPTA役員会など連絡中心の会議がデジタル化されていきます。
メリット3:コメントがしやすい
 会議では意見を言えなかった若い先生のコメントも共有できます。
メリット4:資料がすぐ見つかる
 検索機能が充実した掲示板を使えば資料を探し回る必要がありません。
メリット5:引き継ぎが簡単
 履歴が残るので、転勤や新任の先生に引き継ぎがしやすいです。

なぜこの職員朝礼のデジタル化が、授業の充実に繋がるのか。それは、「自由闊達なる教員文化」を作るきっかけになるからです。アナログだけではできなかった細かいコミュニケーションが生まれ教員同士の信頼関係が深まります。次第に、次はこうしていこうというアイデアが出るようになります。なぜなら教員同士の場に「心理的な安全性」が生まれるからです。

魅力ある学校は、イキイキとした先生によって出来上がります。

学校ICTによって変わっていく学校をたくさん見てきました。単にITを使うとうより、ITを校務や授業に使っていくことで、業務の見直しや自分たちの働き方の見直しにつながっていきます。まるで、前例主義に囚われていた硬い氷が溶けていくようです。さまざまな実績からも、学校改革の入り口にICT活用が効果的と言えます。

このような実践によって児童・生徒がワクワクする、すべての先生がイキイキ授業をしている学校「魅力ある学校」がたくさん増えたらと思います。

こんなブログを書いている今も私たちは教育DXに挑戦する先生を支援しています。
単なるツールからビジョンあるITサービスへ。
これからも微力ながら先生方の力になれたらと続けていきます。