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学校を超えたコラボ授業に必要な機能とは

昨年の9月ごろのことでした。
英語の先生である、奈良市立一条高等学校の原先生と東京都立富士高等学校の小野澤先生から、クラスとクラスをつなげたコラボレーション型の授業ができないか相談を受けました。
2つの学校の英語クラスをつなげて「ディベート授業」をできるようにするというものです。

一条高校は5年間も既にCラーニングを活用しており、すべての教員と生徒で活用率100%を実現していました。富士高校は実証研究校としてCラーニングを使い始めたばかりでしたが、担当の英語の授業では活発に使われていました。この度、管理職がタイアップして学校同士をつなげた授業を実験的に行おうとしたものでした。

ディベートテーマは以下です。

「運動会のようなスポーツ大会は学校に必要か」

一条高校が賛成側、富士高校が反対側に立ちお互いに意見を戦わせていきます。

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ステップ1 ディベート用紙に自分の立場を論じた英文を書く
ステップ2 ディベート用紙を受け取り英文で反論する
      Negative Constructive writing →Rebuttal Speech
ステップ3 ディベート結果をレポートで提出させクラス内で議論
ステップ4 自己紹介動画を協働版にアップしてコメントし合う
ステップ5 Virtual Trip Blogを協働版にアップしスタンプで投票
ステップ6  振り返りのアンケート実施
 (*Virtual Trip Blogとは、海外の観光地を紹介するブログのこと)

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このコラボ授業で新たに必要になったCラーニングの機能としては

「それぞれの学校のCラーニングからアクセス可能なコラボ授業の協働版とアンケート機能」

でした。
Cラーニングはセキュリティーの観点から、学校個別のドメインで運用されています。簡単にいうと学校ごとにシステムが動いているのです。その学校別Cラーニングを1つの授業として動かす必要があります。

そこで、まとめた仕様は以下でした。

・それぞれの学校からアクセスできる1つのコラボ授業の設置
・自校の生徒は氏名で、他校はハンドル名で見れるようにすること
・アンケートは全体集計と学校別集計ができるようにすること

1ヶ月ほどで開発が終了し、テスト後に直ちにローンチし、11月からの授業に間に合ったのでした。

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生徒たちは、Cラーニングの協働版にアクセスするとハンドル名を入れる画面が表示されるので、思い思いのニックネームを入れていました。とても個性があって面白かったです。

授業の成果は大成功。普段の授業よりも真剣にディベートに取り組む姿が見れましたし、高校生らしく出会いを楽しみながら(ハンドル名ですが)、前向きに授業に取り組む姿がありました。成績もよかったというレポートもありました。

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小野澤先生は、「普段の教室のディベートはディベートごっこになってします。今回本気のディベート授業ができた。しかも楽しみながら真剣に。これが他流試合の効果だ」とおっしゃっていました。

まさに、今回Cラーニングの3つのCの1つ 「Collaboration」の真骨頂を発揮したのがコラボ授業の機能開発でした。(コラボ授業のプロジェクトの全体像はこちらをご覧ください。https://www.netman.co.jp/collaboration-class )


これは、先生がどんな授業をしたいのかという想いを汲んで、どうやったらベストなシステムになるかを考えて開発するチームが存在するからこそできることなのです。
言われたままで作ると独自性が強すぎて保守性が下がってしまいます。一方で使えない機能を作っても特徴ある授業はできません。
いかに汎用性を堅持しつつ新しい機能に対応していくか、ここがCラーニング開発の大変に頭を使って苦労するところでもあり面白いところでもあります。

ちなみにこのように開発されるCラーニングの機能は汎用化されすぐに他の学校のシステムに反映されます。こうやって1つの学校、1人の先生の知見が広がっていくことに寄与していきます。


編集後記)
ちょっと面白いのは、奈良はgoogle社、東京はmicrosoft社の教育クラウドが動いているということ。この2社は熾烈な競争を行っており、googleが市場を席巻したと思いきや、さすがマイクロソフト。大都会東京はおさえいて、今後もこの戦いは続くのでしょう。まあ、そんなことはネットマンには関係ないですが。。。汗;(ちなみにCラーニングは、どちらにもシングルサインオンできます)