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これでいいのか?キャリアパスポート

先月、「キャリア・パスポートに感じる漠然とした不安」というnoteを書きました。そこでは以下のようなポイントを上げました。

・優等生でない子はキツい
・チェック表を書かせることに意味あるのか
・自己肯定感が下がる問いがある
・無理に他人軸で、夢や目標を取り繕う癖がついてしまう
(価値観の押し付け)
・校種間の引き継ぎは,児童生徒を通じて行うのは無理がある
・間違った、子供たちのためにならない運用が行われる懸念がある

このnoteに、何人かの現役の先生から共感のコメントやメッセージをいただき、同じような不安を抱えている方がいるということがわかりました。

また、ネットマン社で関わらさせていただいているいくつかの中学校や高校の状況はどうなのか、何人かの先生にインタビューさせていただきました。

そこで多くの中学校、高校で、今まさに起きている問題がわかりました。それは

校種間の持ち上がりとして、出身校(中学なら小学校、高校なら中学校)から「キャリアパスポート」が持ち込まれるという問題です。生徒たちが、「小学校の(中学校の)先生に言われてキャリアパスポート(学校によって呼び方は様々)を持ってきました!」と大量の紙を渡してくるというのです。

(校種間の持ち上がりは原則生徒が行う、としている文科省の方針を丁寧に実施しているだけなので、当然の運用となります)

ここで大きな問題が発生しています。

いろんな学校から進学してくるので、各学校のフォーマットはバラバラであり、「これらを取りまとめること不可能」というのです。

では、どうされるんですか?と聞くと、

「今倉庫にしまってありますが、使えないので、すべて生徒に返します」
とのこと。

ちなみにこの先生は、とても熱心な先生で、生徒のために一生懸命取り組んでいる方です。そのような先生でも、持ち上がってきた「キャリアパスポート」が「使えない」となっている現実があるのです。

余談ですが、インタビューをした先生の中には、
「うちは、生徒に、半年に一回、目標とそれがどうだったかを振り返り文を書かせているので、それで十分だ。調査票や自己PRも書けているし問題ない。」という先生も残念ながらいらっしゃいました。
なぜ今、キャリアパスポートが導入されようとしているか、目的を全く理解することなく、これまでと同じやり方を続けようとされています。私は頭がクラクラして絶句しました。もちろんこれはここでは論外です。


さて
私なりに新たに見えてきたものも含めて、再度キャリアパスポートの問題点を整理したいと思います。

・ねらいである「児童・生徒自身の変化や成長を自己評価できるようにする」に結びついていない
・問題の本質は、教員の指導力と負担増。
・校種間の持ち上がりの引き継ぎの責任が子供とするのは無理がある。
 また、大量の紙が持ち込まれてもデータ引き継ぎが難しい。
・他人と比べることになったり、自己肯定感が下がる問いがある。
・書くことが多く面倒。がんばったことをイチイチ書かせられるので適当になりやすい(もしくは指導通り書かせられているだけで、生徒の力になっていない)
・目標を職業名として無理に書かせたり、夢という曖昧な言葉で引っ張る運用がある

前回も書いたようにキャリアパスポートの目的である
「児童・生徒自身の自己評価スキルを向上させること」
は素晴らしいと思います。

とくにビジネスの社会においてもこの「自己評価力」は使います。どの会社でも行われている目標管理制度や上司との面談などでです。ここで正しく客観的に自己評価することによって組織とのすり合わせができるのです。
もし正当な自己評価ができなければ、社会人としての信用されなくなってしまいます。
まさに自己評価スキルは「生きる力」になり得ます。社会人になったあとにすぐ使う能力ですから、生徒のうちに習得すべき能力となります。


では、上記の問題を解決するにはイノベーションが必要なのは間違いありません

今後、機会があれば、そのあたりの私の考えも書きたいと思います。

今日も最後まで読んでくださりありがとうございました。