最近気になる、学校ICTの3つ怪
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最近気になる、学校ICTの3つ怪

永谷研一/ネットマン社長ブログ

私の会社は創業21年ですが、一番長くやっているサービスが
Cラーニング
という学校で使われるITシステムです。
リリースしたのは2001年ですからかれこれ20年近くやっています。
学習支援システムといった類のもので、「出席、アンケート、小テスト、ドリル、教材倉庫、協働版、レポート、ニュース、連絡・相談、活動履歴、学生カルテ」といった各種機能が搭載されています。今も20万人の学生たちが使っています。
地道な活動が認められ、今年は経済産業省のEdtech導入補助金にとても早く採択され、多くの学校でICT導入を支援しているところです。

この20年で学生のデバイスはガラケーからスマホ、タブレットになりました。
Cラーニングの機能名は発売当初とほぼ変わっていませんが、中身は切磋琢磨してして改善し続けてきました。
とても安価な価格設定で、教員フルサポートをつけ、ユーザー要望のバーションアップも無償で続けているのでビジネス的にはあまり成功をしているとは言えませんが、ほぼリピートしてくださるのでとても喜ばれているサービスかと思います。
また授業だけでなく校務(保護者連絡や各種アンケート、教員同士の資料共有など)にも使われているので、働き方改革にも寄与できているかと思います。

前置きが長くなりましたが、私が学校のIT化を支援する中で最近気になること(学校ICTの3つ怪)があります。

学校ICTの3つ怪
1)持ち帰りNGのタブレット
2)不思議なアクセス制限
3)国が勧める外国のソフト

1)持ち帰りNGのタブレット

GIGAスクール構想で、小中学校で一人一台パソコンやタブレットが配布されようとしています。
今年は配備するのに精一杯という市町村も多いかと思いますが、関係する皆さん本当にがんばっていらっしゃいます。

私が、2012年に佐賀県武雄市で全児童4000人へのタブレット配布と反転授業を支援をさせてもらったとき
「これで日本の学校のIT環境はまともになるわー」と思ったのですが、一向に他の自治体は動かずでした。
私も諦めかけていた昨年、安倍内閣での決定で、ぐーんと前に進んだわけです。

ところが、この一人一台のタブレット(もしくはパソコン)を、児童・生徒は、持ち帰りNGにしようとしている自治体があると聞きました。
これはまずいです。
子供たちがITを道具として、鉛筆、消しゴム、教科書と同じように使い倒してもよいものにしなかったら、今回の一人一台の施策は全く意味がありません。
かつてのパソコン教室のように鍵をかけて触らせないようにするのでしょうか。

たしかに、ランドセルにいれて投げて画面を割るってことはありえます。
ものを大事にさせるのはしつけとして当然です。
また、ほっとけば子供はyoutube見まくりでギガをあっという間に消費するでしょう。せっかく町の予算でセルラー版配備したのに、いざ授業で使おうとおもったら通信制限で速度スローになっちゃうこともあるでしょう。
そうだとしてもそこはおおらかな笑顔で、通信とは何かを学ばせればよいのです。
せっかく一人一台になるのですから、一斉指導の延長線上で考えることはやめる必要があると考えます。

2)不思議なアクセス制限

様々な学校を支援させて頂き気づいてしまったのは、教員のITリテラシーの低さです。教師力が高く子供たちを魅了する素晴らしい授業をされるのにITがさっぱりの方もいらっしゃいます。
原因は先生の努力不足でしょうか。それは全く違います。実は、先生を責められない状況が学校現場にはあるのです。

それは、「教員が自由にPCやIT環境を使えない」ということです。
(上記の持ち帰りNGタブレットの話と似ていますね)

一番驚いたのは、
・教員はWifiのパスワードを教えてもらえない
という運用例があるとのこと。
どうやらアクセス制限があり、指定業者のみがWifi設定を行えるとのこと。
先生にパソコンが配られているのにWifi設定に数週間かかるというのです。

あと
・驚くほど動作が遅いパソコンを無理して使っている点
もびっくりしました。古いソフトが古いデジタル教材を読むためガリガリいって立ち上がってくるwindowsパソコンをみたとき、ちょっと寒気がしました。(すいません)

その他笑える話で
・職員室のパソコンでyoutubeが見れない。
とのこと。
動画教材を活用する授業を考えるとき、どうしろというのでしょうか。
教員は、だまって教科書会社の教材とドリルをやればいいとでも考えているのでしょうか。不思議です。

このように、いざ先生がITを使おうとしても、自由闊達に使えない現実があるのです。

年配の先生ならいざ知らず、若手の先生は大学でも相当パソコンやスマホを使い倒して教員になっているでしょうから、
職員室を始め学校全体の硬い運用でうんざりしている様子があるのではないでしょうか。

(私見ですが、生徒側のBYODはもちろん、教員側もBYODがいいと思います。自分の仕事の道具ぐらい自分で勉強して自分で良くすればいいのです。もちろん立て替え払いできる予算があるならそうすればいいと思います)

3)国が勧める外国のソフト

この度、脱ハンコをうけて、学校での保護者への連絡業務等に関してデジタル化を推進するように文部科学省から各教育委員会向けに通達がでました。

学校が保護者等に求める押印の見直し及び学校・保護者等間における
連絡手段のデジタル化の推進について(通知)


これは、素晴らしいことだと思います。
私も高校生1人中学生3人の4人の子供の親として、学校からのプリントが紙で配られるたびに、
「お願いだからPDFでくれよー。どっかのフォルダーに入れておいてクラウドで共有してくれ〜」
と思っていました。
あと最近の検温のためのハンコ。これも、朝バタバタ忙しいときに検温のハンコが求められ、「もー。そこに置いていあるから自分で押しちゃって」って言っている親も少なくないのではないでしょうか。

これも文部科学省がしっかりわかっていてくれて、学校向けFAQで「オンライン化が働き方改革に寄与する」と伝えています。ありがたいです。

そういう意味で今回の国からの通達は「やった!これで楽になる」と拍手を送った親御さんも多かったと思います。
ところがです。
その国の通達の中身みて私は愕然としました。
そこには
googleとマイクロソフトのソフトウェアが代表的なアンケートフォームとして紹介されているのです
無料だからとかシェアが大きいからとかGIGAスクールですでにアカウンIDを配っている自治体があるからとか理由はいろいろあると思います。
ただ100歩譲っても、国産のソフトもたくさんある中でこの2社だけを掲載する国の案内はいかがなものでしょうか。

GIGAはこの2社が代表ねと国が言ったようなもので、怒りを通り越してこれが国策かと少し悲しくなりました。(自分の力のなさに自己肯定感も極限まで下がりました)

ちなみにアンケートフォームで一番大事なのは未回答者への対応。集計までが業務ではありません。
また欠席連絡のオンライン化は、大事なことは先生が見てくれたことを親が知れること。要は脱ハンコですから、承認業務のワークフローなんです。
お便りのデジタル化だって教員のだれでもできたら管理職は困るんです。その辺りの設計が大事です。ただIT使えばいいってわけではありません。

今回の脱ハンコの通達。趣旨はとてもわかりますし大賛成ですが、このままだとかえって現場の混乱を増やすのではと危惧します。

このあたり、現場をわかっている人がしっかり学校に伝えて欲しいと思います。googleとmicrosoftに頼りたい気持ちはわかりますが、現場には学校や先生を本当に助けることができる力がある人たちが、日本にはたくさんいることを忘れないでほしいと思います。

ちなみにうちの社内システムは、G-Suiteを使い、ビジネス文書はすべてMicrosoftOfficeで作っています。いつもこの2社には助けてもらっています。でもこの2社は日本の学校市場では後発です。また現場に足を運ぶことはしません。日本には日本人らしい解決策があるんだと私は思っています。(けっしてガラパゴスになるって意味ではありません。グローバルソフトウェアとの連携は大事でしょう。でもなんでもそれで解決できるわけではありません。)

以上3つが私が最近気になる学校ICTの3つ怪でした。

今回のこの記事、けっして誰かを批判するために書いたのはありませんが、この文書は誤解される可能性もあります。
でも、せっかく20年近くこの分野の最前線にいて、心ある先生方と1歩ずつ共に前に進めてきた自負があるので、少しでも誰かのためになればいいなと思い、勇気を出してnoteに上げてみました。

今日も最後まで読んでくださりありがとうございました。


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永谷研一/ネットマン社長ブログ
株式会社ネットマンの社長ブログです。発明家、行動科学専門家として教育改革に寄与しようと日々奮闘しています。ここでは教育クラウドの導入現場の話や、教育ICTの開発秘話、キャリア教育実践の話、また著書「できたことノート」メソッド解説など私目線で感じたことを上げていきます。