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GIGAスクール最前線。ある小学校の教員研修の実態をお伝えします。

ネットマンは、今年、Edtech導入補助金という経済産業省の助成金に採択されました。現在14校の小学校中学校高校で「Cラーニング」という学習支援システムの導入支援を行っています。
GIGAスクール構想で学校の児童・生徒にPCやタブレットが一人一台配布されることになりましたが、配っただけでは何も起きません。授業や校務でうまく活用できて、効果が出るわけです。

そんなことで、今日は、GIGAスクール最前線と題して、ネットマンが見た現場の様子をレポートしたいと思います。

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まず、どのような事業計画がEdtech導入補助金で採択されているのかご説明しましょう。
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Edtech導入の事業計画
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(以下便宜上 “生徒“と記述してあるのは“児童・生徒・学生“など学習者を指します)
Cラーニングという LMS でありコンセプトは3つの C で表されます。
・Communication Learning:先生と生徒をつなげる
・Collaboration Learning:先生と先生をつなげる
・Community Learning:生徒と生徒をつなげる

この考え方で設計されている LMS です。サービス開始は 2001 年で 19 年の実績がありま す。
今回のEdtech事業で、解決したい課題としては主に以下の4点を上げています。

1)【ICT 活用度の向上】
学校での ICT の活用度は非常に低いことが問題でした。この問題を解決するには、
「教員が簡単に使いこなせること」
「サポートが充実していること」
「授業や校務に活かせること」
の3つが重要です。
Cラーニングは、直感的で使いやすいという強みがあり、教員が授業で活用するために必要な機能「出席」「アンケート」「小テスト」「ドリル」「教材倉庫」 「協働版」「レポート」「活動履歴」「連絡・相談」「ニュース」という 10 個の機能が揃っていて、授業や校務のあらゆる場面で活用が推進できます。
またシステムを提供するだけでなく、教員へのサポートを充実しています。

2)【アクティブラーニングの実現】
 授業では教員から「わかる人は手をあげて」と発問されることがありますが、実際に手を上げる人は数人。生徒は、正解を探したり自信がなかったりすると発言しません。これでは主体的・対話的・深い学びが実現することはできません。
そこで「アンケート」機能の活用が効果的です。匿名設定によって生徒は安心して答えることができます。教員がプロジェクターでみんなの意見を表示することで、他の生徒の意見を知ることで、自分の新しい考え方を見出すことができるようになります。

3)【教職員の働き方改革】
 教職員の仕事で ICT を活用しないと、資料を大量に印刷したり、職員会議が長引いたり、紙で行われたアンケートの集計に手間取ったりという問題が発生します。
Cラーニングの強みは、教員同士で情報共有が簡単に実現できる点です。
またファイルの共有や質問・回答や 教員同士のアンケートもすべて Cラーニング上で実現できます。よって教職員の働き方を改 革していくことが可能となります。

4)【休校対応と保護者連絡】
 生徒が在宅になった場合、連絡や宿題提示が難しい状況になります。 Cラーニングには、保護者連絡機能が実装されおり、専用アプリを使って確実に連絡ができます。また動画を含む教材の提供も簡単にできます。
またいつ誰がどの連絡を見たか、いつ誰がどの教材を見たかなど、既読・未読機能が有効なことから、生徒のフォローアップも充実させることができるのです。

事業計画の説明は以上です。このようなEdtech事業を14校に行っています。

ある小学校では、令和2年度末、GIGAスクール構想による児童・生徒への端末 配布が行われます。授業や家庭学習でどのように活用していくか検討するため、学校全体で取り組む教員研修を行っています。
最初は、どう活用したらいいのか不安をもつ教員が多かったものの、研修の中で学びあう中でどんどんスキルを向上させ指導案を完成させていくというチャレンジする教員の姿がありました。

現在まで、どのようなステップで進めているか、ネットマンの実践をレポートします。

7/27(月)【環境調査】
 学校のすべての教室や会議室、職員室のwifi回線スピードを調査した。
---(解説)---
アクセスポイント(AP)の間の教室(児童数が増え急遽教室になったエリア)が繋がりにくいことが判明しました。そこで、ネットワーク環境改善を素早く行っていただき、現在は全ての場所で高スピードでつながるようになっています。

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8/4(火)【リーダー研修】  
  7/14の事前ミーティングで管理職と教務グループに現状をヒアリングさせてもらい、一番最初は、リーダー研修として、管理職と教務グループ向けに研修を実施した。
---(解説)---
全体研修の前に一部の先生へ研修を実施して、今後、他の先生をサポートできるリーダー先生になって頂きました。

8/28(金)第1回全体研修】アジェンダ      
   ・PDF、YouTubeのアップロード法を学ぶ  
   ・アンケートの作成と回収方法を学ぶ
   ・協働板の使い方を学ぶ 協働板  
   ・連絡・相談の未読、既読確認方法を学ぶ
---(解説)---
授業での活用の前にまず校務で活用できるようにする研修を実施しました。

9/18(金)  【第2回全体研修】 アジェンダ
 ・小テストと教材倉庫の作成方法を学ぶ
 ・学年別に単元構想を練る
---(解説)---
 授業での活用に向け必要な機能を学んだ後、学年別にグループ分けし、ICTを活用した授業設計の意見交換して集約していく研修を実施しました。

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10/9(金)  【第3回全体研修】 アジェンダ
・学年ごとに単元構想で準備した教材について発表
・コロナ休校を想定し、課題を設定する(検温アンケート、出席機能等)
---(解説)---
授業活用とともに、もしまた休校になった場合の対策のための実践的
な研修を実施しました。

11/4 (水) 【第4回全体研修】 アジェンダ
・学校だより、学年だよりのPDF化方法を学ぶ
・学校だより、学年だよりのアップロード方法を学ぶ
・授業で使う教材研究を実施する
---(解説)---
12月の保護者会実施に向けて、校務活用として「学校だより」「学年だ
より」の発信に向けて予行演習を実施。また授業のための教材研究実施
しました。

11/11(水) 【第5回全体研修】 アジェンダ
 ・学級だよりのPDF化方法を学ぶ
 ・学級だよりのアップロード方法を学ぶ
 ・ICTを活用した指導案を作成する
---(解説)---
「学校だより」と並列し、校務活用として発信する「学級だより」の準
備をする。また、研究授業に向けてICTを活用した指導案作成を実施しました。

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効果測定
 教員研修では毎回効果測定のアンケートを実施していています。
第1回研修は一方向型の「教える」研修であったため、その場の定着度は高かったです。ただ第2回研修では教材アップロード機能を活用するなど「使う」研修であったものの、第1 回目と比べ大幅に定着していないことがわかり、ワーク時間を増やすなどアジェンダの改善を行いました。
第3回・第4回はともに 「使う」研修でありましたが、定着度が上がり研修改善効果がありました。
一方でまだ十分に使いこな せない教員に対しては個別サポートを実施しました。

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今後は、来月12月1日から保護者向けの説明会が4日間行われます。このような活動を通じて、学校と保護者との不安を取り除くために丁寧に説明を繰り返していきます。


以上がGIGAスクール最前線のレポートでした。 上記のステップで私がみた現実は、先生のチャレンジする姿でした。最初は不安を感じている先生もいたはずですが、研修でICTを学んでいくうちにアイデアが湧いてきて、校務での活用案や、授業での指導案を作られていく姿を目の当たりにして、先生たちの学ぶ姿に感動する日々でした。
生徒にとって一番の学びは、先生自身も学んでいる姿を見せることだだと思います。「ありがとうございます」と心から感謝を言いたいと思います。

チャレンジする先生たちとともにこれから学校ICTを全力で支援していきます。
子供たちの未来のために。

今日も最後まで読んでくださりありがとうございました。