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学年が「日本の教育制度の一番の問題」と思っていた私の考えが打ち砕かれた

今年度、学校法人角川ドワンゴ学園 「N高等学校」 (以下、N高)が6年目を迎え生徒数はなんと2万人とのことです。
設立当初、川上量生代表は
「これからの教育はインターネットを使った通信教育に移行していく」と語り、
不登校問題を解決したいという思いがあると述べていました。
2020年度、不登校の児童・生徒数は20万人近くに及ぶことを文部科学省が発表しています。
現在N高は不登校の人以外にも「プログラミングを高校のうちから勉強したい」「将来は起業したい」などしっかりした目標をもって学ぶ人も多いと聞きます。

このあたりを踏まえて、今日は
日本の教育制度の一番の問題」のことを私なりに書きたいと思います。

今の日本の教育制度は

「教える側に便利」

に出来上がっています。その大きな仕組みが「学年」です。
学年(年齢)で習得すべき知識を決めておくと効果測定しやすいのです。

例えば算数・数学においては
・小学校2年で九九を習い
・小学校4年生でグラフを習い
・中学校1年生で二次関数を習い
・高校1年生で微分積分を習う

なんとも良くできた仕組みです。

段階を踏みながら少しずつレベルを上げていける考え抜かれた素晴らしい学習指導要領であり、その証拠に世界の学力調査では日本はトップクラスです。

問題はその階段からはみ出した子の場合です。

たまたま低学年時に数字に対する意欲よりも絵を描くや虫の観察が好きだった子どもがいたとしましょう。

お絵描きや虫をとって観察することは大好きで自ら行う一方で、算数の勉強がどうしても身が入らない。

当然、算数でいつも点数が低くネカティブな評価を受け続けたらどうなるか。
(「もっとがんばろうね」という本人の意識とは関係無い応援も含めて。)

「自分が算数が不得意である」

と思い込んでしまう。そして

「私は算数がきらい」

となるでしょう。

この瞬間、この子どもの算数・数学に対する学習意欲は
長期にわたって不利
になります。

本当は算数の能力が高かったはずなのに不得意と思い込んでしまうのです。

人にはそれぞれ発達段階に差があったり、物の見方に差があります。
今の学年というモデルは、その差を完全無視しているのです。

一人ひとりが個性となってもっと社会で役にたつはずなのに、基礎学力を定着させる大事なときにこのようなことは非常に残念なことです。

学年という仕組みは非常に狭い範囲での多様性しか認めないのです。

そして、構造的な問題として、学年が変わればクラスが変わり担当教員が変わります。
また小学校の先には中学校が、中学校の先には高校があり教員は学力の定着の責任を先送りすることが可能です。

いったい誰が学力に責任をもつというのでしょう。

子どもの能力を引き出して、子どもたちに「できる」と自信を持たせることが、教育の最大の目的のはずです。

本当に「学年」という教育モデルは必要でしょうか。

一部の指導力の高い教員に頼るだけでは足りません。もっと構造として今の時代に適した社会的な教育システムに移行させることができないだろうか。

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要は制度を変えるべきだと。ずっと私は考えてきました。(実はここまでは私が2016年に書いたブログの書き直しです。ぺこり。)

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昨日、ある公立の中学校に視察に行ってその考えは打ち砕かれました。
この学校はこの街のGIGAスクールの研究指定校になっていて多方面から視察が絶えないとのことです。

この学校では、生徒たちは、授業はもちろん、普段の生活の中でもタブレットを使い倒しているのです。
例えば昼休みの活動だけでもこのようなことでタブレットを使っています。
・ドリル問題回答
・英単語の書き取り
・理科の動く教材での学習
・情報検索、プレゼン資料作成
・作曲
・生徒会のアンケート集計
・部活での情報共有
・学級日誌
・タイピング練習など
を気軽に自由に楽しんでいます。なんと、
・高校受験の面接の練習を電子教材を見ながら生徒同士で行っている姿
もありました。

普段使いが定着しているのです。

そして驚いたのは、昼休みにクラスの部屋に分かれて国語クラス、数学クラス、理科クラス、英語クラスを作り生徒同士が学び合っているのです。
もちろん所属するHRは関係ありません。自由に勉強したいクラスにいって学んでいるのです。もちろん静かに1人で勉強したい人の部屋もあります。

これもタブレットがあるからできることかと思います。教材の共有やドリルの共有、資料の共有などが瞬時できて個別学習の状態が見える化されていることが活用されています。

今は同じ学年でクラス横断にしているようですが工夫次第では学年横断に発展させるのは簡単なことです。
まるで、異年齢のグループを活用する「イエナプラン」ではないですか。

イエナプラン教育の普及するオランダは、こどもの幸福度ランキングで、1位になったこともあります。異なる年齢のグループが形成されて学んでいます。日本のように同年齢の学年はないのです。

普通の公立の中学校でも可能であるということは、現行制度でもやれることがたくさんあるということですね。制度を変えなくてはいけないと考えていた私の視野が狭かったです。すいません。猛省します。

GIGAスクールによってタブレットが一人1台配られましたが、うまく活用すれば、これから子供が幸福になる教育への転換が期待されます。

未来に希望を持つことができました。

視察に応じてくださった校長先生、話を聞かせてくれた生徒たち、気づきをありがとうございました!

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