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【vol.24】行動できるかどうかは、計画が9割

言葉の使い方で、行動の実践度が変わります。実践度の高い「行動計画」を立てるためには、どのような言葉を使えばいいのでしょうか。

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第5章さらにバージョンアップするために

目標達成のための
「できたことノート」活用法③
「次なる行動」を実践するためのコツ


「経験から学ぶ力」がまだ十分でない人の対処法、
内省文の4つの要素 から
③本音の感情 に触れていない
④次なる行動 が実際の行動に結びつかないケースについて
解説します。

【パターン③感情なし型「とらわれ」タイプ】

「感情なし」パターンを解説しましょう。

これは、何かにとらわれている「とらわれ」タイプといいます。心のフタを開けて本当の気持ちに触れることに慣れていないと、フタが閉まったままになる。

「フタを開けて本音の感情と話す」これが大事だよ。という話を、これまでにしてきました。「本音の感情」の記述がないと、やる気とか行動に対する前向きな気持ちが上がってこないんですよね。なので、問題になります。

資格試験のために英語を勉強しているMさんがこんな内省をしました。

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①詳細な事実
金曜日夕方、セミナーに出席した。海外で働くための情報を得た。

②原因の分析
セミナーを広告で見つけた。海外志向が強く、英語も一生懸命勉強してきた。実際海外へ行くときにはお金がかかるかもしれないので、お金を気にする必要がありそうだ。

③本音の感情
(書けていない)

④次なる行動
お金を何とかしなくては。まず、親に相談かな

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これ、どうですかね。応援したくなるような内省文です。でも、少し意思がゆるい、この行動に対してやる気が上がっているのかな?本気なのかな?と心配になるような文章ですね。

「文章はこれでいい。気持ちが大事なんだ」と思うのであれば、考え方を改める必要があります。

感情を書くことによって背中を押されるので、内省文を改良する必要が
あるんですね。

では、どう改良したらいいのか。「本音の感情」をこう書いたらどうでしょうか。

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③本音の感情
海外で働く夢ウキウキ。でも資金面が心配

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本音の感情を書くことで、自分の意思がわかりますよね。

Mさんは、海外で働くことが夢です。だから英語の勉強も一生懸命していますね。でも、「海外で働く情報が足りないからセミナーで情報を得た」というのが事実だと思います。

「海外で働く夢ウキウキ。でも資金面が心配」

プラスもマイナスも感情を書くことが大事だと申し上げた通り、上手に書けています。

ここまで書くと、「本音の感情」を書くことで自分の意思がわかってきますから、背中をトンッと押されます。

この時の「次なる行動」はこうなります。

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④次なる行動
親に情熱をこめて説明して、頼んでみよう
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「私の夢は海外で働くことだ。ここまで一生懸命に勉強してきた。ぜひ私の夢をかなえるために協力してもらえないだろうか」という気持ち。お父さんお母さんにこの気持ちが伝わったら、何としてでも助けてあげたいって思いますよね。

改良前
「お金を何とかしなくては。まず、親に相談かな」

改良後
「親に情熱をこめて説明して、頼んでみよう」

どちらの「次なる行動」が実際に行動に移せるでしょうか。このように、実際に自分の背中を押すために「③本音の感情」があるんですよね。

感情に触れると、次なる行動が変わってくるということです。ぜひ皆さんにもやっていただきたいと思います。

ポイント
「人は感情に触れるからこそモチベートされる」 

行動に向けて自分で自分の背中を押すように動機づけされるという意味です。

「どうしても感情が書けない」という人もいますよね。そういう時には、感情を書けない自分がいるというように、素直に書けない自分と向き合うことも大事です。

感情にうまく触れて、自分で自分の背中を押して行動変容力を増す。これに取組んでもらえたらと思います。


【パターン④行動なし型「口だけ評論家」タイプ】

内省の最後「④次なる行動」に記述がなかったり書いてあっても次なる行動に結びつかない「口だけ評論家」という感じです。ありがちな事例を見ていきましょう。


<次なる行動に結びつかない「次なる行動」の事例3ケース>

★ケース1 願望★「○○したい」
まずは2キロ減を目指したい
まずはプランニングをしていきたい

これ、本当に良くあるんです。「○○したい」これは単なる願いです。

行動計画であれば「○○する」というように、行動を起こす言葉になるはずです。

さらに、もっと具体的な実践計画にするためには次の3つを追加するといいですね。

「いつ」やるか
「何を」やるか
「どう」やるか

これを追加すると、非常に実践度の高い行動計画になります。

例えば、旅行についての行動計画だとしたら
「明日の夕食時に、夏休みの旅行について家族で話し合って計画する」
ここまで書いたら必ず実践する、実践度が上がると思いませんか。

事例の「プランニングをしていきたい」を改良してみましょう。

「来週の水曜日までに、家具の開発のについて企画書を5ページにまとめてプランニングする」

「いつ」「何を」「どう」やるかを入れると、明確な行動計画になりますね。

★ケース2 精神論★「○○を心がける」「○○をがんばる」
前日に準備をするように心がける
来週から気合を入れてがんばる

行動計画の動詞が「心がける」「がんばる」になっていますが、
これは、頭の中で考えているだけの精神論ですよね。心持ちのことを書いています。

「心がける」「がんばる」以外にも心持ちの言葉はあります。「意識する」「検討する」実際の行動ではないですね。

もっと「具体的」な行動を書く必要があります。その言葉通りに行動すれば誰でも同じ行動になるレベル。

例えば
「帰る前に10分使って翌日のスケジュールの確認を行う」

「翌日のスケジュールの確認を行う」だけよりも、「帰る前に10分使って」を加えることで、すごく明確になりましたね。

実は
「心がける」「がんばる」「意識する」「検討する」
このような「考える」言葉、実際の行動ではない言葉はNGワードなので、ぜひ気をつけるようにしてください。これ以外にもまだまだたくさんあるので、ご自分で考えてみてください。

★ケース3 程度を表す言葉★
「次はしっかり追い込みを行う」
「明日からは積極的に取り組む」

これ、何か良さそうですよね。(やる気のある人が書いているな)と思えます。けれども、私はちょっと疑問があるんです。

なぜならば、「しっかり」「積極的に」のような副詞、程度を表す言葉は、実は、実践の度合いがあいまいなんですよ。

「しっかり」やるって、どれくらいやることなのでしょうか。「積極的に」っ取り組むって、どれくらい取り組むのでしょうか。わからないんですよね。

「しっかり」「もっと」「きちんと」「積極的に」「主体的に」「効率的に」「必ず」「徹底的に」たくさんありますよ。

この場合は、どの程度、何をするのか。どれくらい、どのような取組みをするのかを明確に行動計画に入れるといいんですよね。

「明日から、朝の通勤時間を使って新聞を読む」

いつから、どういう方法を使って、何をするのかを明確にしています。

「明日から、がんばって新聞を読む」じゃわからないし、
「明日からしっかりきちんと新聞を読む」じゃわからないですよね。

「どれくらい」やるのかを決めきれない時、少し盛ってしまう気持ちがあるときには、この副詞を使いやすいので気をつけてください。

やる気があることは大事ですけれども、「程度を表す言葉」を使いやすくなることは注意点になります。ぜひ、これを参考に改良してみてください。



以上、3つのケースを紹介しましたが、目から鱗だったのではないでしょうか。

内省文の要素「④次なる行動」の書き方によってどれだけ行動の実践度が違うのか、お分かりいただけたと思います。

私の肩書きに「発明家」「行動科学専門家」と書いてありますけれども、研修やセミナーの後、研修生が職場へ戻ってから「次なる行動」の実践の度合いを上げることをずっと支援してきました。

フォローアップをするだけではなくて、ITシステムを使ってサポートしたり様々な実践の中で定着度を上げるということをやってきました。

その中で、「どのような行動計画が実践されないのか」という大量のデータを得て、そのデータを整理分析し、論文等も検証したうえでこの「できたことノート®」を書いています。

「行動計画」の立て方によって実践度が全く変わります。計画した時に結果が9割決まりますので、実践度が高い行動計画「④次なる行動」を書く、この内省に取組んでみてください。