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「教室での最大の学習資源は隣の人である」という考えにたった授業とは

教育ICTが活況で、学校ではさまざまな実践が行われています。
ICTの活用は大きく「校務」と「授業」に分かれますが、今日は授業(教室)での活用を考えたいと思います。

一般的に

・教材(PDFや動画)の配布ができる。
・ドリルの採点が即座にできる。
・提出物や意見の共有が簡単にできる。

ということが行われていますが、生徒の学びにフォーカスした視点では

「個別習熟度別の指導が可能になる」

と言われています。
要は一斉指導の時代が終わり、学習者個別の状況に合わせた教育ができるということですね。

ここでは個人ではなく、教室という「場の価値」を考えた時、ICTは何に生かされたら良いかを考えたいと思います。

私は

「協調学習に生かすこと」

が一番の価値と考えます。

協調学習とは「学び合い」。チームやクラスでお互いの意見をぶつけ合い新しい気づきを得ていくというもの。


早稲田大学の原田康也教授は
「教室での最大の学習資源は隣の人である」
と表現しました。

また英語学習研究の第一人者である村山先生はグループ学習の効果を以下のように発表されました。

・教員がネイティブの英会話の授業で、グループ学習が行われた。
  ↓
・最初は実力差があるが、しばらくすると学生のスキルが同じになる。
  ↓
・学生は教員と他の学生が話している会話を聞き学習している。
  ↓
・実は教員から学んでいるのはなく隣の学生から学んでいる
  ↓
・この手法が最も早く英会話力を身につける学習法である


少し実力が上の学生に追いつくというのです。
逆に学生間に大きく実力の差があるとこうはうまくいかないと言います。

他の協調学習の研究者からも同じことを指摘している報告があります。

要は

少人数クラスやグループ学習の効果は大きいが、その分け方が重要

だというのです。

「主体的・対話的で深い学び」と言われ、教室では対話の時間やグループ学習を多用されていますが、どのようなグループ分がベストなのかデザインされているでしょうか?

まさか、出席番号やくじ引きで座席を決めて、それがそのまま学習グループになっているということはないでしょうか。長年当たり前と考えられてきた学年や学級という学習グループも正しいとはいえないかもしれません。

でも研究者が言うように効果的なグループ分けを機動的に学校で行うの難しい面もあるかと思います。

そこで、学習グループ分けにITが使われたらどうなるでしょうか。
学習者の実力をデータから判断し、的確なグループを指定するのです。究極は毎日、毎時間、グループが変化してもよいでしょう。
授業単位にスマホに参加するクラスやグループが指定されたら毎回緊張感があって、とてもいい学びの時間となるかもしれません。

もちろん、的確なグループ分けにはテスト結果などの理解度データだけでは足りないでしょう。その課題に対する向き合い方や他の学習の履歴のデータも必要になってくるでしょうね。

まだまだ実践と分析と研究を進める必要がありますが、これからの教育変革が楽しみです。