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目標達成する人の内省文には「本音の感情」が書いてある

私は、拙書「できたことノート」を2016年に出版してから、Mr.自己肯定感と(一部で)呼ばれるようになりましたが、実は「行動を変える専門家」です。

企業に対して人材育成の仕事をする中で、「やりっぱなしの研修の撲滅」を2005年に宣言して以来15年間、研修後の「行動変容」を支援するITシステムを数多くの企業に導入してきました。もともとシステムエンジニアでしたので、ITシステムは得意でした。教育分野はIT化がとても遅れていたので、他にないユニークなITを創発し米国でも特許を取ることができました。(なぜ発明家と名乗っているかは自己紹介をご覧ください)

では、なぜ「できたことノート」が生まれたのか。今日はその軌跡を書きたいと思います。

私の発明した「行動改善システム」は、以下のような構成要素があるシステムです。(当時はActionT.C.という名称、今はPDCFAシステムと呼ぶ)研修直後からITシステムを以下のように使っていきます。

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1.研修で学んだ仲間を行動実践チームとしてメンバー編成し登録する
2.研修で決めたアクションプラン[目標と行動計画]を登録する
3.すると、1週間に1回、システムからリマインダーメールが届く
4.行動のセルフチェックと振り返り(内省文)を行い保存する
5.すると、チームメンバーにフィードバック依頼がメールされる
6.メンバーと相互に気づきを与えるフィードバック(FB)し合う
7.内省とFBの気づきによって行動を変える=行動変容する

これを繰り返すことで自ら最適な行動を見出し目標を達成していくというプロセスです。PDCFAサイクルと名付けたこのプロセスが、確実に実践されるようにITシステムが支援しています。

ここでの1つの重要なポイントが振り返り(内省文)です。
実は行動変容には、自分の経験を振り返る「内省」が必須になります。
内省とは読んで字の如し「うちをかえりみる」ことですが、自分自身と向き合って経験を思い出し、その行動はどうだったのか、
うまくいったのなら、その理由はなんだろうか、
うまくいかなかったら、その原因はなんだろうか
と考えて、次に起こすべきアクションを自分で見出していくのです。

私は、Action.T.C.を2006年に出荷して、多くの大手企業に導入してきました。確かに「やりっぱなしの研修」が改善されて、職場に戻った後の行動や思考が見える化されたのはいいのですが、実は。。当時は大きな声で言わなかったことがあります。それは

目標達成する人としない人に大きく分かれる

という事実です。確かにアクションプランは実践されているのですが、目標達成にとって効果的な行動かどうかは疑問でした。最適な行動を実践しているかどうかは人によって大きく差があったのです。

そしてもっと分析を進めました。

私は、実は、研究者の側面もあります。(研一の研は研究の研ですし。。笑)データを分析して論文として学会で発表するのです。査読を通ったものもいくつか実績があります。そこには、行動科学、認知科学、情動科学の過去の研究と付き合わせてデータと奮闘するという地道な作業があります。私は10000人以上の行動変容のデータと格闘しました。
そこである大発見をします。それが

目標達成する人は、内省文に「本音の感情」を書いている人が多いという事実です。
逆に達成しない人は、取り繕ったような薄い文章を書く傾向があるのです。

理由は多数ある思います。感情を吐露することで自分を前向き、ポジティブにできるという側面もあるでしょう。
ただ私のデータ分析としては、本音の感情を書く人が目標達成しやすいことは明確な理由が見つかりました。それは

周りからのフィードバックが長続きする

という事実です。しかも力強いフィードバックになります。考えてみれば当たり前のことかもしれません。

本音も書かない薄っぺらい内省文に対してだと、「がんばれよ」くらいしか言えないですよね。
本気で本音を書いてあれば「もっと、こうすればいいんじゃないか」とフィードバックも熱がこもったものになります。

実はPDCFAサイクルが回り続けられるのは、熱のあるF(フィードバック)が続くからです。私はこの事実を受けて「目標達成の最大の敵は”孤独”である」と書籍に書きました。

問題はこの「本音の感情」をどうやって書いてもらえるようになるか、
ということです。

心を閉じている人に、自己開示せよというのは酷な話であり、もっと心が閉じてしまう危険性さえあります。

私は、「なぜ自己開示できないのか」という問いを続けました。

本音の感情が課題だと気づいて4年くらいたった2013年。内閣府が発表した、満 13~29 歳の若者を対象の『我が国と諸外国の若者の意識に関する調査』で、日本は諸外国に比して若者の自分への満足感が低いこと等が示されました。中央審議会では子供の自己肯定感の低下への対策が話題になっていました。私はハッと気づき「自己肯定感」を徹底的に調べることになりました。様々な先行研究がありました。(自己効力感や自尊心の研究も含む)

そして、本音の感情が書けないのは自己肯定感の問題であると結論づけました。その後、自己肯定感が下がる理由が「他者との比較」であることが大きいとわかり、自己肯定感を自然に上げるためにはどうしたいいかを考え抜いた結果、とうとう

「できたこと」にたどり着いたのです。

「できたこと」であれば、事実ですから誰かと比べる必要がありません。「できたこと」なら結果主義に陥らずプロセス主義となり努力した点に着目させることができます。
さらに、「できたこと」を目的思考することで、足りない点も前向きに捉えることができる=行動変容しやすい
ということも発見しました。もともと、クリティカル・シンキング(目的から考え、健全に疑う思考)をいかにさせるかが目標達成のための行動変容にはポイントだったので、それが繋がったことも大きいことでした。

こうやって「できたことノート」は生まれたのです。

今では、できたことノートのワークシートが53週(1年分)収録された「できたこと手帳」や、親子で一緒に取り組む「親子 できたこと手帳」が出版されたり、学校教育の学級経営(ホームルームなど)で使われる「できたこと生徒手帳」が生まれています。また企業向けでもオリジナル手帳を開発する動きやPDCFAシステムを導入して

という動きも出てきています。

私も「自己肯定感で未来を作ろう!」という講演会を各所で行うことを通じて「できたことノート」をお伝えする中で、「誰でも自分らしく生きれる社会づくり」に貢献できたらと思います。

今日も最後まで読んでくださりありがとうございました。