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【vol.12】反省文は前向きな行動に繋がらない!内省するための「問い」とは?

「できたことノート」第3章より
思考が停止してしまう原因と、
内省に必要な「自問」についてお話します。


第3章できたことノートを書く前に③

今回は、
「内省、自ら省みる際に、なぜか思考が停止してしまう」
この原因について解説します。

その後に,
「内省をするためには、自分にこういう質問をするといいよ」
という説明もしたいと思います。

思考が停止する原因を知り、内省の効果を上げる

1 思考が停止してしまう原因

思考が停止してしまう原因は、3つあります。

①感情が先に立つ

ミーティングをしている時、
批判的なことを言われて、
イラッとして「何でこんなこと言うのかな」
と思ったことはありませんか?

仕事で失敗して、
へこんで悲しい気持ちになったことは
ありませんか?

それらはすべて、
感情が先に立っているんですね。
「感情が先に立つ」と、
冷静な思考ができなくなると言われています。
そうならないためには、 
「事実」を冷静に見つめた後に、
「感情」に触れるといいんですね。

「感情が悪い」ということではありません。

こういうことを言われたから、
今、私、イライラしているなとか
仕事でこういう風に失敗したことが原因で、
自分は悲しくなっているなあ
と思うことができれば、
落ち着いて冷静になることができます。

ぜひ、まず「事実」を先に見つめるんだよということを
念頭に入れてもらえたらなと思います。

②程度があいまい

例えば、「○○的に」という言葉があります。
「積極的に」「徹底的に」「主体的に」とかですね。

あと、「副詞」があります。
「しっかり」「もっと」「はっきりと」「きっちりと」

これらはすべて程度を表す言葉ですが、
具体的に「どれくらい何をするのか」は、
わからないんですね。

「積極的にコミュニケーションしよう」
どれくらいコミュニケーションすることなのでしょう?

「明日は、しっかり営業します」
どのように営業するのでしょうか?

実は、程度があいまいな言葉を使うと、
思考が止まってしまう原因になります。

「何を、何回やる」とか、
「具体的にこういう行動をする」ということまで考えると、
あいまい性がなくなるので、思考が深まっていきます。
ぜひ、「程度があいまいな言葉」に注意してみてください。


③報告文になってしまう

仕事上、週報や日報を書くことがあります。
上司とか先輩に報告する、ということもあると思います。

「今週はできませんでした。すみません。来週がんばります」と
報告したことがある人も、いるのではないでしょうか。

内省というのは、自分自身との心の会話です。
でも「報告文」というのは、他人に向けた反省文なんですね。
反省文では、前向きな行動にはつながりません。
字は似ていますけれども、
「反省」ではなく「内省」、これが大事になってきます。
報告文的に誰かに向かって書く言葉。
これは思考が止まりやすいので注意をしてみてください

自分に向かって書くことが、大事ですよね。

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思考停止に陥ると、
「自分では深く考えている」ように錯覚してしまうことがあります。
深く考えていそうで考えていない状態から脱出する。
誰でも簡単に内省できる。
そのような技術があるんですよね。

それは、「質問」です。
質問をきっかけにして、深い思考はスタートするのです。


2 内省には「自問」が有効

夫婦の会話の事例を見てみましょう。
夫「今日のごはん、おいしいね」
妻「どこが美味しいの?」
夫(うっ・・・)「味がよくしみてて美味いね」

これ、実は聞かれたから深く考えているんですね。
人間というのは感情的な動物ですから、
感情的に最初(美味しいな!)と思っても
なぜかな?どのへんかな?というのは
聞かれてから考えるわけです。

この習慣をうまく利用すると、
自分に向かって「質問」することによって、
深く考えられるということにもなります。

なので、内省には「自問」、
自分に問うことが有効なんですね。

ここでは、「できたこと」からスタートしていますので、
「できたこと」が「なぜ、うまくいったんだろう」ということを考え、
そして、「次にこんなことをしてみよう」というところまで
持っていければ最高なわけです。

この「自問」、自分に問う質問には、
4つのステップがあります。

Nさんが「いつもより商品説明が上手くできた」という事例で
説明しましょう。


①具体的に何があったの?

「できたこと」の事実を、より具体的に書きます。

Nさん:4月12日、会社で取引先の30代の男性と
    新商品に関する打合せを行った。
    いつもより、商品の説明がうまくできた。


②なぜそれができたの?

なぜ商品説明がうまくいったのか?
いろいろな理由があるでしょう。
「資料準備をして持って行った」とか、
「説明の練習をして向かった」とか。
「なぜうまくいったのかな」と考えることが大事ですね。

Nさん:場が和やかで明るかったので、説明がしやすかった。
    買ったばかりの春物の青い服を着ていた。
    明るい色の服は、自分の気持ちも明るくしてくれる。
    服装をサッパリすることによって、
    自分が前向きになって気持ちよくなった。
    そっか、やはり身だしなみをしっかりしていくと
    気持ちよくなるなあ。
    それが相手にも伝わったのかもしれない。


③いま素直にどう感じている?

「いま、商談が上手くいった自分はどう考えているんだろう」
ということに、素直に向き合います。
まさに例の「ラベリング」ですよね。

Nさん:やったー!商談、次もがんばるぞ!
    商談がうまくいってうれしい。
    それをもたらしたのが「洋服の色」だったとしたら。
    いつも暗い色ばかり着ていた私は何だったのか。
    もっと早く気づけばと、ちょっと後悔。
    
    
④明日からどんな工夫をしてみる?

そして自問4番目、ここがまさに脱皮の瞬間ですけれども、
自分の行動をバージョンアップして、新しい行動を見出す。
たった一つの「できたこと」から、
新しい行動を見出していく質問になります。
「明日からどんな工夫をしてみる?」という自分への質問です。

Nさん:明日からも明るい色の服を着ていこう。
    会社帰りに春物の服を買いに行こう。

もっと他にもありますね、
「今度商談に行くときも、資料を練習してから行こう」とか
「先輩と練習してから行ったほうがいいかな」とか
いろいろな工夫点があると思います。

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「商品説明がうまくできた」という一つの「できたこと」に対して、
この順番で考えていくと、いろいろな工夫点が見出されますよね。

「できたこと」を振り返るのは、すごく楽しい作業なんです。
新しい自分を発見する作業になります。
変化していく自分を楽しむことができる。
以前説明した「脱皮」ですよね。
それを楽しむことができる、ということになります。

「自分のバージョンアップ」これを楽しむために、
この4つのステップで自問をしてもらえたらなと思います。
ぜひ、やってみてください。